大分県別府市の百貨店「トキハ別府店」が2019年9月までに全館リニューアルする。
15億円で全館改装-21時閉店、劇場・足湯・オブジェも
トキハ別府店は1988年10月に開業。建物は地上8階、地下1階建て(現:百貨店棟)。1998年に隣接する地下1階、地上13階建て(現:専門店棟・立体駐車場)のファッションビル「別府ショッピングプラザコスモピア」をトキハが約44億円で購入して統合された。それ以降、両館はトキハが所有する。
現在の売場面積は29,728㎡で、同規模の地方百貨店では日本一の広さとなっている。
![]()
トキハ別府店。
今回の改装は屋上階、8階、6階以外のほぼ全館に及ぶもので、投資額は約15億円。主な改装内容は以下の通りとなる。
7階の旧催事場には福岡県の温泉施設「太平楽」が運営する「ぶらり劇場 別府」が開設される。この劇場では「温泉街の名物」とすべく主に1日2回の大衆演劇が実施される。また、隣接するレストラン街も存続する(一部テナント募集中)。
![]()
7階・ぶらり劇場。
5階にはヨガスタジオ「ロイブ」が新規出店。このほか、スポーツクラブなどの誘致が進められている。
![]()
5階・ロイブ。
4階には地階から100円ショップ・雑貨店「セリア」、「手芸のいとや」が、1階から「釘宮メガネ」が移転。ゲームセンター「ナムコ」も改装されるとみられる。このほか、大手書店「リブロ」、紳士服「フタタ」は営業を継続する。大型の空き床(元・直営床)があるため、この他にもテナントが導入されると思われる。
![]()
4階・セリア。
3階の婦人服売場と「モクモクカフェ」、「ABC-MART」、「ライトオン」、「カーブス」は営業を継続。空き床に1階から婦人雑貨、バッグなどが、地階から「ジュエルカフェ」が移設されて営業を開始している。
2階は4階から紳士服、紳士雑貨、スポーツウェア、リビング・家庭用品(旧5階)、寝具(旧5階)が、1階から旅行カバン、ヘルスサポート「トキメキ」、トキハ商品券カウンター、「コムサイズム」、「リフォームコーナー」が移設されるほか、「アメリカンホリック」「grove」など複数のアパレル専門店が出店。子供服「WARAWA」は同階移転する。直営床の大部分は6月末から仮営業を開始。専門店(コムサ含む)については9月上旬までに営業を開始する。なお、7月現在2階は「しまむら」などの看板・内装が残ったまま百貨店として営業しているため「一種異様な状況」となっている。
![]()
2階・WARAWAなど。内装はしまむらのまま。
1階は化粧品、土産品、案内所に加えてドラッグストア、コンビニエンスストアなどの専門店で構成される。「無印良品」、「スターバックスコーヒー」は1階で残留。この2店は以前よりも増床される予定。コムサ、釘宮メガネなど一部テナントは他階に移転する。シンボルゾーンの「センターモール」はそのまま存続。駅前通り大屋根下の「センタープラザ」にはインスタ映えするようなオブジェが設置され「トキハベップパーク」として運用。イベントの充実も図られる。
![]()
改装中のセンタープラザ。
![]()
スターバックスは増床予定。
地階は食品売場とフードコート、催事場で構成される。食品スーパー「トキハインダストリー」も全面改装される。フードコートは約10年ぶりの復活で、別府らしい店舗構成となる計画だというが、具体的な店舗名については7月現在発表されていない。トキハ別府店(百貨店・専門店)の地階が全床「食関連」となったのは開業3年目であった1990年以来29年ぶりのこと。地階のシンボルゾーン「メトロプラザ」には温泉の足湯が設置される。源泉はかつて1階・専門店棟前にあった温泉の泉のものが利用されるとみられる。
![]()
地階・銘菓。ラウンド什器も存続。
![]()
地階・専門店。
屋上階の「稲荷神社」「展望デッキ」、8階の「トキハ・大分合同新聞文化教室」「フットサルコート」、6階の「ジブラルタル生命」「リクルート」(オフィス)は改装されない。
![]()
屋上・フットサルコート。
![]()
屋上・神社。
なお、改装に合わせてシースルーエレベーターの停止階が「1階・2階・7階・8階」に改められている(7月現在)ほか、9月からは営業時間が10時~21時に改められる予定。実現すれば「九州一の長時間営業百貨店」となる。
LED化など施設更新も
今回の改装に合わせて4階「ラグハウス(トキハの絨毯売場)」3階「オッジ」、2階「ファッションセンターしまむら」「アベイル」「シャンブル」、1階「セビアン」「アラミス化粧品」、地階「まるみや」「エッセンハウス」「菊家シャンテドール」「キヘイカフェ」など多くの店舗が退店している。
退店面積が大きいため、現在公開されていないテナントの出店も予想され、誘致に期待がかかる。
また、改装に合わせて全館で内装の刷新・館内照明のLED化など施設更新も進められており、明るくスッキリとした店内へと生まれ変わった。
北浜交差点には「横断歩道」
このほか、店舗外では8月ごろ北浜交差点に横断歩道が設置される。
横断歩道が設置されるのは駅前通り側がトキハ=ろばた仁の間、国道側がトキハ=大分交通別府北浜バスセンターの間。北浜交差点は長年に亘って地下道しかなく、近年は旅行カートを持った旅行客が苦労して地下道を行き来する後継が多くみられるため、バリアフリー化を図ることとなった。
![]()
横断歩道設置工事が進む北浜交差点。
さらに、館内には9月21日から11月10日まで紙造形アーティストの関口光太郎氏による横幅25m×奥行き15m の大型オブジェが展示されるということで、こちらも注目される。
「コト消費」で観光客需要つかむトキハ
トキハの全館改装のキーワードが「コト消費」であることは言うまでもない。
トキハでは、劇場の開設に加えて土産品売場の移設拡大、ドラッグストアの導入、そして人気テナントである無印良品の拡大、イベントの増加などにより、外国人観光客の更なる取り込みを狙いたい考えだという。
![]()
ラグビーワールドカップのラッピングも。
新規出店するテナント(6月判明分)
- ぶらり劇場(劇場)
- ロイブ(ホットヨガ)
- grove(レディスアパレル)
- AMERICAN HOLIC(レディスアパレル)
- T’s Collection(レディスアパレル)
- ちふれHIKARIMIRAI(化粧品、業態転換)
- 福砂屋(カステラ)
- 足湯(仮称)
- インスタ映えするオブジェ(仮称)
- 未定(スポーツジム)
- 未定(コンビニエンスストア)
- 未定(ドラッグストア)
- 未定(飲食店)
主な退店テナント(2018年~2019年6月判明分)
- ラグハウス(絨毯)
- オッジ(婦人服)
- ファッションセンターしまむら/アベイル/シャンブル
- セビアン(宝飾)
- アラミス(化粧品)
- まるみや(惣菜)
- エッセンハウス(惣菜)
- 菊家シャンテドール(洋菓子)
- キヘイカフェ(喫茶)
全面改装となる主なテナント
- セリア
- 手芸のいとや
- コムサイズム
- 釘宮メガネ
- ジュエルカフェ
- WARAWA
- 無印良品
- スターバックスコーヒー
- 資生堂
- SK-II
- 秀栄丸
- 若竹園
- 京屋本店
- キーコーヒー
館内構成・主なテナント(一部)
13
~9 |
|
展望室・屋上画
駐車場 |
8 |
フットサルコート・神社・展望デッキ |
駐車場 |
7 |
海の見えるレストラン街・ぶらり劇場 |
駐車場・身障駐車場 |
6 |
リクルート・ジブラルタ生命 |
駐車場 |
5 |
ロイブ・未定 |
駐車場 |
4 |
リブロ・フタタ・Seria・いとや・未定 |
ナムコ |
3 |
婦人服・婦人雑貨・呉服・制服 |
Right-on・ABC-MART |
2 |
紳士服・スポーツ・家庭用品・寝具
アパレルテナント・子供服WARAWA |
コムサイズムなど |
1 |
化粧品・土産品・案内所・大交バス
無印良品・スターバックス・未定 |
ドラッグストア(未定)
クリニック・調剤 |
B |
食品(トキハインダストリー)
銘菓・酒・ベーカリー・催し場 |
フードコート
足湯(温泉) |
トキハ別府店
住所:大分県別府市北浜二丁目9番1号
営業時間:10:00~21:00(9月から予定)
9月上旬までは10:00~19:00
7月28日~29日は10:00~20:00
一部飲食店は20:00から22:30まで営業(店舗による)
関連記事:別府杉乃井ホテル、2025年までに全面リニューアル-九州最大級のホテル、投資額400億円以上で「更に巨大化」へ
関連記事:トキハ本店・ヴィトン跡に「スタバ」、2019年5月4日開店-スタバ、別府公園にも出店
関連記事:中三弘前店マチナカラック、2019年8月開業-上層階を「アウトレットモール」化、地方百貨店の新モデルに